2021/8/28
ある人が、男性に硫酸をかけた
という事件がありました。
詳細はわかりませんが、
怨恨があったのではと勝手に推察しました。
最近観たイ・ビョンホンさん主演映画
「インサイダーズ」でも、
イ・ビョンホン(演じる役)は
ある”報復”を受け体の一部を失い、
その後2年がかりでリベンジの機会を準備し、
「もう復讐なんてやめて
モルディブでモヒートでも飲みましょ」
という仲間の声にも頷かず、
復讐の道を進みます。
それこそ韓国映画や韓国ドラマでは、
復讐を人生の軸に生きている登場人物って
たくさん出てきます。
映画の中では、
復讐を成し遂げることで
手に入る大金もあるのかもしれない。
硫酸事件の場合は
何も得られることがないのにな、
と思います。
その人に硫酸をかけたところで、
自分の手に入る何かというのは、
何もない。
何も自分にプラスがないし、
硫酸をかけても何が生まれるわけでもないのに、
(悪いものしか生まれないのに、)
その行動を、起こしてしまう。
手に入るものといったら、
達成感??
「してやった」という爽快感??
でもそんなものは、復讐をしなくても
別のことをしても手に入れられることなのに。
”復讐すれば、自分の気持ちが晴れるはず”
”あいつにも嫌な目に遭わせてやらなきゃ
気が済まない、そうしないではいられない”
復讐に命を燃やす人というのは、
そういう気持ちなのだと思います。
これは殺人や陰謀といった
大きな犯罪だけでなくても、
たとえば
“浮気をした夫を、不幸にさせたい”とか、
“毒親に、自分がさせられてきたのと
同じだけの苦しみを味わわせたい”だとか、
恨みの気持ちを消せずに
攻撃の心を行動の動機にもっている人、
(あるいは心に秘めている人)というのは
世の中に少なくないと思います。
復讐に快楽を感じる。
快楽を得るために、
損なはずのこともやってしまう。
自分のため(自分の欲のため)に、
本当は自分のためにならないはずのことを、
やってしまう。
復讐って、
”その相手が原因をつくった”
という意識のもとで
なされる行動だと思うのですが、
実は、“相手のせいで自分は復讐に駆り立てられている”のではなくて、
自分がただ自分の快楽を得たいから選んでいる行動です。
そのことに気づくことが大切だと思います。
もちろん、大切な家族を奪われたとか
命より大事なものを壊されたとか、
そんなことをした相手に
強い恨みを抱いてしまうのは
自然なことかもしれません。
けれど、
その気持ちをその先、
どこに向けていくか、
どう向けていくかは、
選ぶ権利が自分自身にあるのです。
その権利に気づけずに、
もう自分は復讐するしかない、
復讐するしか選択肢はない、
と思ってしまうのは、
悲しくもったいないことだと
思います。
「復讐の目的は自己の尊厳の回復」だと
いう記事をちらっと読みました。
『アベンジャー型犯罪 秋葉原事件は警告する』 / 岡田尊司(文春新書)
アベンジャー=復讐者。アベンジャーは、人生の最後にすべてを投げ出して、怒りをぶつけ、他人を破壊することで、自己の尊厳を回復しようとする。
自己の尊厳を回復したいなら、
「復讐」という形じゃなくても
別の方法も選べるはずです。
「(尊厳を回復するためには)復讐しかない。
復讐しないと実現できない。」
「まずは復讐しないことには何も始まらない。」
と思ってしまっている
その視野の狭さ・トンネリングが、
元凶なのだと思います。
「復讐をしないと、自分自身が
鬱屈として引きずってしまうから、
復讐しないよりはした方がいい」
という考えに対しては、私は
復讐という手段ではなくて
別の方法で
自分自身の鬱屈を解消したらいい
と思うんです。
復讐という形でないと、それが叶わない
(自分の心は満足しない、傷は癒えない、回復できない)
と思っているから、
「復讐しなければ」
「絶対あいつに復讐してやる」
になるんだと思います。
別の形でもそれ(=自分が本当に望んでいること。自分の心を癒すこと)
は叶うんだと、
そしてそれを叶えようと
思ってみることが、
復讐心から抜け出すための
蜘蛛の糸になるはずです。
私も、もしも親を殺されたら
その人のことは許せないかもしれない。
私の大切な人を騙してひどい目に遭わせたとしたら、
その人のことは許せないかもしれない。
でも、その後の自分の人生を
復讐のために使ったり、費やしたり
復讐で棒に振ったり
復讐で心いっぱいには少なくともしたくない。
そんなことをして、
誰が喜ぶかといったら、
別に誰も喜ばないし、誰の幸せにもつながらないから。
仮に自分が喜び、自分の幸せにつながるかと思ったとしても、
きっとそれは幻想だから。
復讐に命を燃やして、
般若のような顔で生きるよりも、
「素敵な生き方」をすることで、
誰かにも良い影響を与えられる人で
ありたいと思う。
実際にできるかはわからないけど、
自分の望みとしてはそう思う。
…結局、「復讐」って、
自分のためでしかないんだな。
(「この人のために」と思っても、
それも「自分はそう思うから、そうしたい」
を叶えているだけ)
世界の「幸せを増やす」作業ではない。
「悲しみを消す」「憎しみを癒す」「恨みを晴らす」作業
だとは言っても、
その作業としていくつも選択肢がある中での、
一番悲しい選択肢。
復讐の連鎖も、誰かが「止める勇気」
「自分で止める勇気」が
大切なのだという気がします。
悲しい事件が減ることを願って。
また更新します。
ライフコーチ 上村あかり
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